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2021年10月11日
Interface編集部
2022年1月号 ステレオ・カメラの画像処理 処理一覧
1月号特集は「ステレオ・カメラの画像処理」です.先行して画像処理の内容を公開します.
ステレオ画像はその特殊性から,一部の技術者や専門家が使用するに留まっていました.そして,その目的は主に距離計測です.視差情報から物体の位置関係を高度な画像処理によって推定することで,距離計測は実現します.
ここで好奇心から視点を変えてみましょう.ステレオ画像を,たった一枚のディジタル画像とみなします.もともとディジタル画像を対象とした画像処理アルゴリズムには膨大な数があり,その実施環境は今や,インターネットにつながったPCさえあれば,誰もが容易に整えることができます.これら数多の画像処理アルゴリズムを,特集で紹介するようなステレオ画像に適用して,VRゴーグルで立体視したら,何が見えるのでしょうか.間違いなく,そこには見たことのない「不思議な世界」が広がっていることでしょう.
項目 | 詳細 |
グレー化(輝度) | 画像をモノクロにする |
BGR入れ替え | 画像のカラーチャネルを入れ替えて色変えをする |
バイアス調整 | 画素値を加算・減算して明るさを調整する |
画像反転処理(上下) | 画像の上下を反転.画像を逆さにする |
画像反転処理(左右) | 画像の左右を反転.画像を鏡合わせにする |
アップサンプリング(ガウシアン) | 画像を滑らかに大きくする |
バイキュービック補間法(拡縮) | 画像の大きさを自由に変更する(高精度な画素値推定をする) |
ニアレストネイバー補間法(拡縮) | 画像の大きさを自由に変更する(画素値をそのまま使用する) |
BGR適用処理 | 画像処理をBGRチャネルに適用し,画像処理をカラー画像に対応する |
静止画像基礎処理
項目 | 詳細 |
セピア・カラー | 画像をノスタルジックなセピア色に変更する |
ソラリゼーション | トーン・カーブを複数回,急激に曲げて「濃淡値の差」を強調,画像化する |
輝度反転 | 画素値を反転する(白は黒に,黒は白に変化する) |
ガンマ変換 | 画素値分布をガンマ変換で操作し,明るさを滑らかに調整する |
ノイズ付加 | 画像にざわざわとしたノイズを任意強度で加える |
折れ線トーンカーブ | 画素値分布を直線で制御し,明るさを大きく調整する |
ヒストグラム描画 | 画素値分布を画像化し,どんな明るさの画素がどのぐらいあるか表示する |
濃淡値処理
項目 | 詳細 |
任意のしきい値で2値化 | 画像を2値(白と黒)化する |
判別分析法 | 画素値ヒストグラムを2クラスに分けるしきい値で画像を2値化する |
モード法 | 画素値ヒストグラムから「谷」を見つけ,そこをしきい値にして画像を2値化する |
P-タイル法 | 画素値ヒストグラムを「任意の面積」で分けるように画像を2値化する |
レベル・スライス2値化法 | 画素値ヒストグラムから「白にする区間」を選んで画像を2値化する |
ローカル平均しきい値処理 | ローパス・フィルタでぼけた画像を「しきい値面」として画像を2値化する |
しきい値処理グループ
項目 | 詳細 |
平均値フィルタ | 画素値を局所的な平均値に置き換えてぼかす |
ガウシアン・フィルタ | 平均値フィルタに「ガウス分布の重みづけ」をしてぼかす |
一方向平滑化フィルタ | 画素値を一方向のみの平均値に置き換えて「一方向に」ぼかす |
中央値フィルタ | 画素値を局所的な中央値に置き換えて「ノイズのような外れ値」を除去する |
最大値フィルタ | 画素値を局所的な最大値に置き換えて「暗さを潰して明るさを強調」する |
最小値フィルタ | 画素値を局所的な最小値に置き換えて「明るさを潰して暗さを強調」する |
ローパス・フィルタ・グループ
項目 | 詳細 |
ハイパス・フィルタ(平均値) | 平均値フィルタでぼかした画像と入力画像の差(輪郭やテクスチャ)を出力する |
ハイパス・フィルタ(ガウシアン) | ガウシアン・フィルタでぼかした画像と入力画像の差(輪郭やテクスチャ)を出力する |
ソーベル・フィルタ(縦) | 縦方向の変化と横方向のガウシアン平滑化で「横の輪郭を滑らかに」出力する |
ソーベル・フィルタ(横) | 横方向の変化と縦方向のガウシアン平滑化で「縦の輪郭を滑らかに」出力する |
プリューウィット・フィルタ(縦) | 縦方向の変化と横方向の平滑化で「横の輪郭を滑らかに」出力する |
プリューウィット・フィルタ(横) | 横方向の変化と縦方向の平滑化で「縦の輪郭を滑らかに」出力する |
ロバーツ・フィルタ(縦) | 左上から右下方向に伸びる輪郭を出力する |
ロバーツ・フィルタ(横) | 右上から左下方向に伸びる輪郭を出力する |
一次微分フィルタ(縦) | 縦方向の一次微分(差分)から「横の輪郭」を出力する |
一次微分フィルタ(横) | 横方向の一次微分(差分)から「縦の輪郭」を出力する |
二次微分フィルタ(縦) | 縦方向の二次微分(二回差分)から「横の輪郭」を挟むように出力する |
二次微分フィルタ(横) | 横方向の二次微分(二回差分)から「縦の輪郭」を挟むように出力する |
ラプラシアン・フィルタ | 縦横の二次微分を組わせたラプラシアンで「縦横の輪郭」を挟むように出力する |
鮮鋭化フィルタ | ハイパス・フィルタ(ガウシアン)を入力画像に付加して「輪郭強調」を行う |
自己商画像 | ローパス・フィルタによるボケの大きさを基準に2値化し,輪郭情報を出力する |
ハイパス・フィルタ・グループ
項目 | 詳細 |
ダイレーション | 画像の明るさを「膨張」させて「明るさを拡大(暗さを縮小)」させる |
エロージョン | 画像の明るさを「収縮」させて「明るさを縮小(暗さを拡大)」させる |
オープニング | エロージョン後にダイレーションし,画像の「小さな明るい領域」を消す |
クロージング | ダイレーション後にエロージョンし,画像の「小さな暗い領域」を消す |
ホワイト・トップハット | 入力画像とオープニングの差分により「小さな明るい領域」を出力する |
ブラック・トップハット | 入力画像とクロージングの差分により「小さな暗い領域」を出力する |
モルフォロジー演算グループ
項目 | 詳細 |
ポスタリゼーション | 画素値の強度レベルを荒くすることで,手描きポスタのような色に変化させる |
テクスチャ画像作成 | 局所的なフラクタル次元を使用し,画像のテクスチャ分布を画像化する |
鉛筆画風変換 | 画像を鉛筆画風変換に変える.立体視すると立体鉛筆画像になる |
ヒストグラム平坦化処理 | 画素値ヒストグラムの分布が均等になるようコントラストを調整する |
モザイク画像処理 | 画像にモザイクをかけたように変化させる |
ポスター風画像処理 | 画像をポスター風画像のように変換する |
レベル表示画像処理 | 何かの特徴画像を強度ごとに色分けして表示する |
バイアス消去処理 | 画像から全体の平均値を減算して,「画素値の強弱」を画像化する |
マスキング処理 | 2枚の画像を合成する.ここではステレオ画像の視野外を消去する |
簡単なインペインティング | 画像内に「白色で指定した欠損」を「もっともらしく修復」する |
HDR化処理 | 画像の色・明るさの幅(ダイナミック・レンジ)を高精度に強調する |
色相(H画像)変換処理 | 画像の「ここは何色か」を画像化する |
彩度(S画像)変換処理 | 画像の「ここはどのぐらい色鮮やかか」を画像化する |
輝度(V画像)変換処理 | 画像の「ここはどのぐらい明るいか」を画像化する |
応用処理グループ
項目 | 詳細 |
ホワイト・ノイズ生成処理 | 画像の濃淡表現を2値のホワイト・ノイズで表現する |
ディザ法(パターン・ベイヤー型) | ベイヤー型のパターンを使って濃淡表現を2値で行う |
ディザ法(パターン・ハーフトーン型) | ハーフトーン型のパターンを使って濃淡表現を2値で行う |
ディザ法(誤差拡散法,フロイド・スタインバーグ) | 画素を2値化した時の誤差を,フロイド・スタインバーグの誤差拡散パターンで2値化する |
ディザ法(誤差拡散:バークス) | 画素を2値化した時の誤差を,バークスの誤差拡散パターンで2値化する |
ハーフトーニング処理グループ
項目 | 詳細 |
左右個別処理 | ステレオ画像の左半分と右半分で適用する処理を変える |
マスキング処理 | 2枚の画像を合成する.ここではステレオ画像の視野外を消去する |
視差情報消去処理(右側複製) | ステレオ画像の右半分側を左半分に複製し,視差を消去する |
視差情報消去処理(左側複製) | ステレオ画像の左半分側を右半分に複製し,視差を消去する |
視差情報表示処理 | ステレオ画像の左半分と右半分の差である視差を出力する |
視差情報評価画像 | 画像処理したステレオ画像の「視差情報」を3つの項目で評価する |
αブレンディング | 2枚の画像を均等に合成する.ステレオ画像では「2重の立体感」を持つ |
ハイブリッド・ステレオイメージ | ハイブリッドイメージで合成されたステレオ画像.裸眼立体視でのみトリック・アートになる |
ステレオ特殊処理グループ