2024年10月号…環境構築手順の補足

●このページで解説すること
本サポート・ページでは,2024年10月号で,開発ホスト(PC)にLinuxビルド環境を構築するときの手順を紹介します.ビルド・システムにはYocto Projectを使用します.開発ホストには,Ubuntu 22.04を使用しました.

 

●ステップ①…ビルド環境を構築する
▼手順1:事前準備
次のコマンドを実行して,ビルド環境に必要なツールをインストールします.

$ sudo apt-get update

$ sudo apt install -y gawk wget git diffstat unzip texinfo gcc build-essential chrpath socat cpio python3 python3-pip python3-pexpect xz-utils debianutils iputils-ping python3-git python3-jinja2 libegl1-mesa libsdl1.2-dev xterm python3-subunit mesa-common-dev zstd liblz4-tool

pylint3パッケージはUbuntu22.04には存在しないので,次のコマンドでインストールします.

$ pip3 install –user pylint

 

▼手順2:開発環境のクローン
任意の場所にディレクトリを作成し,そのディレクトリ内に開発環境をクローンします.次のコマンドを実行します.

$ git clone -b mickledore git://git.yoctoproject.org/poky.git

▼手順3:セットアップ・スクリプトの実行
次のコマンドを実行します.

$ . poky/oe-init-build-env

 

●ステップ②…ラズパイ4向けイメージをビルドしてみる
▼手順1:BSPレイヤの取得
次のコマンドを実行して,ラズベリー・パイ用のBSP(Board Support Package)を取得します.

$ bitbake-layers layerindex-fetch meta-raspberrypi

▼手順2:ラズベリー・パイ4向けの設定を追加
build/conf/local.confに,次の内容を追記します.

MACHINE = “raspberrypi4-64”
DL_DIR = “${TOPDIR}/../downloads”# enable uart
ENABLE_UART = “1”# systemd
DISTRO_FEATURES:append = ” systemd”
VIRTUAL-RUNTIME_init_manager = “systemd”
DISTRO_FEATURES_BACKFILL_CONSIDERED = “sysvinit”
VIRTUAL-RUNTIME_initscripts = “”# Accept for the synaptics license
LICENSE_FLAGS_ACCEPTED = “synaptics-killswitch”

▼手順3:Linuxイメージの構築
次のコマンドを実行して,Linuxイメージを生成します.

$ bitbake core-image-base

 

●ステップ③…生成したイメージをmicroSDカードに書き込む
開発ホストにmicroSDカードを接続し,次のコマンドを実行ます.

$ cd tmp/deploy/images/raspberrypi4-64
$ sudo bmaptool copy core-image-base-raspberrypi4.wic.bz2 /dev/sdX

sdXには,microSDカードのデバイス名を入れます.デバイス名は環境ごとに異なるので,/devディレクトリで確認してください.

 

●ステップ④…ラズパイ4にUSB-シリアル変換モジュールを接続する
▼手順1…変換モジュールとの接続
USB-シリアル(UART)変換モジュールを用いて,ラズパイ4とPCを接続します.接続は次の通りです.

▼手順2…ターミナル・ソフトウェアの設定
PCにターミナル・ソフトウェアを導入し,ラズパイ4のシリアル・コンソールを表示できるように設定します.
・スピード:115200bps
・データ:8ビット
・パリティ:なし
・ストップビット:1ビット
・フロー制御:なし

●ステップ⑤…ラズパイ4にmicroSDカードを挿入して起動する
書き込みが完了したら,カードをラズベリー・パイ4に挿入して起動します.