Interface編集部

2025年8月29日「業界横断型 高周波無線技術交流会」レポート
2025年8月29日(金)東京都台東区上野にて,最先端の高周波無線技術を業界の垣根を越えて共有・議論する場として「業界横断型 高周波無線技術交流会」が開催された.
主催は日本電計とナショナルインスツルメンツ.交流会の主は2つの技術セミナと招待講演,その後の懇親会で構成される.
セミナは,ソフトウェア無線(SDR)の代表的なプラットフォームであるUSRP(Universal Software Radio Peripheral)とVST(Vector Signal Transceiver)に焦点を当て,各技術の最新動向や具体的な応用事例が紹介された.
無線技術の基本から最先端のディジタルRF技術,そして航空宇宙やミリ波といった多岐にわたる応用事例まで包括的に学ぶ機会となった.参加者は実践的な知識と最新の動向を習得し,今後の研究開発や業務に役立てることができる.
●USRPセッション 13:30~15:20
・LabVIEWによる制御とAI応用事例 講師:日本NI 技術部 稲毛 耕平氏
・OAI(OpenAirInterface)導入事例 講師:構造計画研究所 髙谷 翔平氏
・航空宇宙・防衛向け事例 講師:ドルフィンシステム
・ミリ波応用事例 講師:TMYTEK
●VSTセッション 15:30~17:00
・無線信号の記録・再生(Record & Playback) 講師:ドルフィンシステム 福島 幹雄氏
・RFmxによる信号生成・解析 講師:日本NI 技術部 稲毛 耕平氏
・衛星通信・防衛レーダー向け技術紹介 講師:株式会社イー・アイ・ソル 平澤 啓氏
写真1 衛星通信・防衛レーダー向け技術を紹介する平澤 啓氏
●招待講演
・無線送信機のフルデジタル化 講師:住友電気工業株式会社/東北大学 前畠 貴氏
次世代デジタル無線技術として,アナログの周波数変換機能や局部発信機を用いず,直接デジタル部から変調信号を出力し,無線機の小型化を図ることができる変調器(1ビット・バンドパス・デルタシグマ変調方式:1-bit BP-DSM)について解説した.
写真2 無線送信機のフルデジタル化 前畠 貴氏
●懇親会
セミナ後には無料の懇親会が開催され,参加者は講師や他の技術者と活発な交流を深め議論を継続する機会を得た.
●補足
▲USRP (Universal Software Radio Peripheral)
USRPは,ソフトウェア無線技術を学ぶ学生や研究者など幅広いユーザを対象とした汎用性の高いプラットフォーム.ドーターボードと呼ばれる拡張ボードを交換することで、対応周波数帯や機能を変更できる.
▲VST (Vector Signal Transceiver)
VSTは,USRPよりも上位であり,1チャネル当たりの単価が高い.
主に製造現場や製品開発現場における計測,テスト向けに設計されている.
ベクトル信号発生器(VSG)とベクトル信号アナライザ(VSA)の機能が1つのモジュールに統合されている.これにより信号の生成から解析までを非常に効率的に行える.5G,Wi-Fi,レーダなどの複雑な無線信号のテストに最適.FPGAを内蔵しているため,リアルタイムでの信号処理が可能.