2025年9月号 世界一遅いミニ四駆作りに挑戦

●キット

このキットに対応する市販のミニ四駆[ダイハツ コペン RMZ(ITEM18081)]で動作を確認していますを別途入手してください.

キットの付属品を次に示します.

・ドライバ・ボード完成基板

・エンコーダ・ボード完成基板

・エンコーダ用スリット・ディスク

・Groveケーブル×2

・M5Stick固定用マグネット

本キットは,あくまでも特集の内容を体験することを目的としています.将来的なサポートをお受けできません.本キットの基板並びに開示技術情報によって発生した直接的,間接的トラブル,損害に対しては著者,CQ出版社は責任を負いません.本基板や開示技術情報を製品などへ使用されることはご遠慮ください.

 

●キット付属品:ドライバ・ボード完成基板

PSoCマイコンが搭載されており,親マイコンからモータ制御用のパラメータをI2C経由で設定できます.親マイコンとの接続用としてGrove用のコネクタ(4芯)を搭載しています.

●キット付属品:エンコーダ・ボード完成基板

基板上に搭載した2つのフォト・リフレクタでタイヤの回転速度を検出します.タイヤには3Dプリンタ製のスリット板を貼り付けます.ドライバ・ボードとはGroveケーブルで接続します.

●キット付属品:スリット板

タイヤの内側に取り付けるスリット板です.

 

●制御システムの全体構成

モータを制御する回路をドライバ・ボードとして提供します.このボードにはPSoCマイコンが搭載されており,モータに与える電圧を直接制御していますが,今回はブラックボックスとして扱います.

PSoCマイコンへは,親マイコンからI2Cでパラメータを設定することで,モータの挙動を変えられます.

記事では,親マイコンとしてM5StickC Plusを使い,そのファームウェアはUI Flow(GUIプログラミング環境)で準備しました.

UI Flowのプログラムはダウンロードデータとして提供します.

このデータのAPI Keyはブランク(空)になっています.UI Flowでご自分のデバイスのAPI Keyを設定してください(GUIで設定するとプロジェクトファイルにも反映されます).

 

●組み立て動画

▲ドライバ・ボードの差し込み方

少しコツが必要です.

 

 

▲エンコーダの調整法

エンコーダでタイヤの回転を正確に読み取るには,取り付け位置が重要です.前軸にタイヤを差し込む量で調整します(いっぱいに差し込んだ位置から少しだけ戻す.0.2~0.5mm程度).

正しい位置にあるかどうかを判定するM5StickC Plus用の調整アプリはキットに付属予定です.

 

●ダウンロードプログラムの使い方

▲M5StickC Plusへファームウェアを書き込む

M5Stick C Plusにはあらかじめ,M5Burnerなどを使って,UI Flowの実行ファームウェアをインストールしておきます(GUIによる操作なので簡単にできる).画面の指示に従い,M5StickC Plusを接続するWi-FiのSSIDやパスワードを入力します.

次に,下記の通りUI Flowを使って,実行プログラムをダウンロードします.

▲UI FlowからプログラムをM5StickC Plusへダウンロード

特集のダウンロードデータをUI Flowで開き,使用するM5Stick C PlusのAPI Keyを設定します.

「Download」ボタンをクリックして,M5Stick C Plusにプログラムをダウンロードします.

ダウンロードデータを使わずに,自分でミニ四駆のモータを制御するプログラムをGUIで構成することもできます.

▲スマホ用ウェブアプリへのアクセス方法

UI Flowでプログラムを組むことでミニ四駆を自由に制御できます.

ダウンロードデータのプロジェクト(プログラム)では,さらに利便性を上げるために スマートフォンなどから無線で制御できるようなGUIプログラムになっています.

スマートフォンとM5StickC PlusとはM5Stackのサーバを経由して接続します.通信にはWi-Fiを利用するので,ミニ四駆を走らせながらパラメータ変更できます.

以降で,その使用方法を説明します.

UI Flowの画面にある「Remote+」をクリックします.

下記の画面の赤矢印の所(▶マーク)をクリックします(上記の通りUI Flowの画面で,あらかじめM5Stick C PlusのAPI Keyを設定しておく必要があります).

表示されるQRコードをスマートフォンなどで読み取ることで,M5Stackのサーバにアクセスします.スマーフォンに制御画面が表示されます.

スマートフォンのGUIを操作してパラメータを変更することで,M5StickC Plusにパラメータが伝わります.そして,M5StickC Plusがドライバ・ボード(PSoC)上のパラメータを書き換えることで,モータの挙動が変わります.

▲開発方法

このアプリケーションは,M5Stackの開発環境UI Flowで作ったウェブアプリです.UI Flowにある「Remote+」ボタンを押して開くウィンドウ内で,GUI操作でアプリケーションを開発できます.

 

●さらに滑らかに回す方法

▲メーカ純正オプションのモータなど

ミニ四駆用のモータとして,アフターパーツが販売されています.

今回の実験では低速域で滑らかに制御するために,モータのコギングが制約になりました.コギングの少ないモータに変更すると,より安定して低速回転できるようです.

●M5Stick Cを使う場合

ダウンロードデータはM5Stick C Plusに対応していますが,少しの変更でM5Stick Cでも動かせます.

UI Flowにアクセスし,ダウンロードデータのプロジェクトを開いた後,デバイスとしてM5Stick Cを選択します.

M5Stick Cの画面に,必要なラベル(lMode, lRpmS, lPosS, lCurD, lRpmD, lEncD, lBat)を配置してください.

これで,M5Stick Cでミニ四駆を動かせるようになります.