Interface編集部
2026年4月号 シミュレーション開発入門 特設ページ
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●開発スピードとコスパを両立!モデルベース開発
従来の製品開発では,図1(a)のように仕様書に基づいて図面を作成し,実物の試作品を製作しては確認および修正を繰り返すという手法が一般的でした.
これに代わる手法として登場したのが,モデルベース開発(MBD:Model-Based Development)です.モデルベース開発では,モデルと呼ばれる動かせる仕様書をコンピュータ上に構築し,シミュレーションすることで,実際の試作品を作らなくても,事前に動作確認や検証を行います[図1(b)].そのため,製品開発を短期間かつ低コストで行うことが可能になります.

●メリット①…製品開発の時間とコストを削減
モデルベース開発の特徴は,設計だけでなく,検証もコンピュータ上で行える点にあります.モデルベース開発は製品設計に幅広く用いられています.これは,設計段階にシミュレーションを用いることで,試
作の回数を圧倒的に減らすことができるためです.
このため,モデルベース開発の利点は,製品開発における開発期間およびコストを抑えられる点にあります.試作品を作成する場合,開発期間が長くなるだけでなく,多大な費用がかかります.一方で,シミュ
レーション可能な動かせるモデルを一度構築してしまえば,壊れることなく何度も再利用できます.
●メリット②…検証結果のフィードバックがしやすい
シミュレーションによる検証は,実機を用いた試験とは異なり,危険を伴いません.さらに,モデルの内部状態をコンピュータ内の変数として取得できる点も大きな利点です.このため,図2に示すように,検証に要する時間やコストを抑えることができます.
モデルベース開発であれば,同一の検証条件を何度でも再現できる点も重要です.設計変更を行った箇所についても,シミュレーションによる検証結果を具体的な数値に基づいて共有できるため,設計と検証の間で適切なフィードバックを行いながら,円滑にコミュニケーションを取ることが可能となります.

●モデルとは…実物を抽象化したもの
モデルとは,実物を抽象化したものと考えることができます.ここでいう抽象化とは,目的に応じて複雑な対象から本質的な要素を取り出すことを意味します.例えば,建物を設計する際には,まず2次元の図
面を作成し,その後,図3のような模型を作ることが一般的です.このような模型も,モデルの1つであると言えます.模型を作る目的の1つは,3次元空間において設計が仕様書通りになっているか,また仕様書そのものに不具合がないかを確認することです(扉を開閉したときに他の部分と干渉しないか,車いすでも利用可能かなど).
3次元空間における室内空間や配置の確認を目的としているため,段ボールなどの簡易な材料で作られていても問題ありません.一方で,建物全体の強度を確認することが目的である場合には,実際の柱や構造部材を用いてモデル化する必要があり,大がかりになります.

●特集で扱うモデル…物理現象を数式として表現したもの
本特集で扱うモデルとは,このような物理的な模型ではなく,物理現象を数式として表現し,コンピュータ上でシミュレーション可能な形にしたものを指します.
このモデル化には,特別なプログラミング言語の知識や高度なコーディング技量を必ずしも必要としません.モデルは,図4に示すように,ブロック線図を用いて要素同士を接続することで構築できるためです.
一方で,モデルを正しく構築するためには,数学や物理に関する知識が不可欠となります.

●特集では身近な物理現象を例にモデルベール開発を学ぶ
本特集では,身近な物理現象を題材として,それらをモデル化するための基本的な考え方を紹介します(図5).また,Windowsで動作する3次元グラフィックス(3DCG)を用いて,物理現象を視覚的に確認することで,直感的にモデルベース開発を体験します(図6).
モデル作りを行うためには,数学や物理の基礎知識が欠かせません.そこで本特集では,高校数学や高校物理の内容を振り返りながら,大学初年級で学ぶ数学や力学へとつなげていきます.数式が何を意味しているのかを,図やシミュレーションを通して理解します.
また,実際にモデルベース開発を体験する道具として,MATLAB/Simulinkの6 カ月間無償版を使用します.モデルを作成し,動かし,結果を確認するという一連の流れを通して,モデルベース開発の考え方とその有用性を体験することを目的としています.

図5 モデルベース開発の流れと本特集で解説するポイント

図6 3D視覚化ツール(SILS)を使って物理現象を視覚的に確認している様子

















