Interface編集部
WIND RIVER TECHNOLOGY FORUM 2023レポート
2023年9月6日,東京コンファレンスセンター・品川で組み込みOS VxWorks,Wind River Linuxなどを開発販売するウインドリバー(https://www.windriver.com/)による技術カンファレンスが開催された.
● 開場の挨拶と基調講演
ウインドリバー株式会社 代表取締役社長 中田知佐氏は,ウインドリバーの最近の動向や技術的な取り組みについて語った.2022年に同社が自動車部品サプライヤーのアプティブの100%子会社になったこと,アプティブはウインドリバーの最大の顧客でもあること,ロゴ・マークが刷新されたことなどを語った.
また,近年は従来の 組み込みOS企業からインテリジェント・システム・プラットフォーム企業へと変化し,デジタル・トランスフォーメーション(DX),マシン・エコノミー(マシン同士がコミュニケーションして意思決定を行う),インテリジェント・エッジ(組み込みデバイス)への投資を拡大していることなどが語られた.
最高技術責任者(CTO) ポール・ミラー氏による講演では,同社の組み込みシステム開発のクラウド化への取り組みが語られた.開発プラットフォームWIND RIVER STUDIOでは,クラウド・ベースで開発から運用までを行うDevOps,およびこれにセキュリティーを加えたDevSecOpsが行えるとのことだ.
フィールドエンジニアリング バイスプレジデント ジェーガン・アーサナリ氏による講演では,近年の同社が重点的に投資を行っている分野について語られた.
近年のVxWorksではRISC-Vアーキテクチャのサポート,コンテナ,LLVM/Clang,Kubernetes,AUTOSARなどへの対応,Azure,AWSなどクラウド・プラットフォームへの対応が行われている.
Wind River LinuxではビルドシステムYocto Projectへの対応や,TensorFlow,Rust,SBOMなどの新しい技術のサポートが進んでいる.
(Yocto Projectに関してはInterface誌で「Yocto Projectではじめる組み込みLinux開発入門」が連載中)
Helix Virtualization Platformでは複数OSやVirtIOのサポート,ビジュアルな設定などが進んでいる.
● 展示会場:今月号に記事が掲載されます
展示会場ではパートナ企業によるVxWorks/Wind River Linux対応マイコンボードやソリューションなどが展示されていた.
アイティアクセスのブースでは,VxWorks上でTensorFlow Liteを使った画像認識を行うデモを行っていた.Interface 11月号(9月25日発売)では,リアルタイムOSであるVxWorksと非リアルタイムOSであるUbuntu LinuxでTensorFlow Liteを動作させ,高負荷時の両者の挙動の違いをベンチマークする記事が掲載される.TensorFlow Liteを使いたいがリアルタイム処理も行いたい,という場合に参考になるであろう.