EVミニカート・レース九州大会　2025レポート｜ Interface

お知らせ 2025年3月14日

Interface編集部

EVミニカート・レース九州大会　2025レポート

2025年3月7日（土），大分県竹田市直入町の「SPA直入」にて，一人乗りEVミニカートのレース大会が開催された．

主催は日本自動車レース協会（JEVRA），運営はCQ出版．本大会では，30分間のレースでサーキットを何周できるかを競う．

レポートはInterface筆者：氏森充

本大会の主なレギュレーションは，次のとおり．
1：車両；「CQ EVミニカート・キット」を使用する
2：動力：CQブラシレス・モータ＆インバータ・キットのモータ部を使用．ただし，マグネットワイヤの種類や巻き方，コア材・永久磁石材の変更は許可される
3：電源：12V出力の完全密閉型鉛電池を2個使用．直列・並列接続は自由．メーカの指定はないが，1個あたりの重量は最大3,000gまでとする
4：電流制限：最高速度抑制のために電池からの電流はサーキット・ブレーカで制限する．（電池直列接続の場合は30A．並列接続の場合は60A）
5：ドライバの最低重量：装備を含めたドライバの最低重量は６５kg以上，学生参加の場合は５５kg以上とし，最低重量が規定に満たない場合はバラストの搭載する
このほかにも，さまざまな詳細な規定が設けられている．興味のある方は，「2025年〈3/7開催〉CQ EVミニカート・レース九州大会競技規則」を参照．

■レース場の雰囲気
●朝は寒さが厳しく，近くの山には雪が積もっていた．受付が始まる11時ころには風も強く，参加者たちは震えながら準備をしていた．しかし，レースが始まるころには風が穏やかになり，気温も上昇して絶好のレース日和となった．

山にはまだ雪が残る

11時30分に受付が始まり，その後すぐにブリーフィングが行われた．そこでレース場の説明とグリッドの抽選が行われた．

ブリーフィングの様子

その後，車検やドライバの体重測定が行われ，合格したチームから順にフリー走行が始まった．体重が55kg以下のドライバは，バラストを一緒にカートに乗せて走行する．
エントリーされたレースカーには，それぞれの学校が工夫を凝らしている．例えば，モータの電線の太さや巻き方に創意工夫が見られ，モータを制御するインバータやプログラムにもさまざまなアイデアが取り入れられていた．それぞれの取り組みが，各レースカーにユニークな特徴を与えていた．

車検の様子

体重計測

SPA直入のコースは，全長1,430mの反時計回りで，高低差21.2m，9つのコーナーがポイントのロードコースである．この短い距離で20m以上の坂を上るため，EVミニカートとドライバにとっては挑戦しがいのあるコースとなっている．
初めて参加するチームやドライバの中には，このコースを無事に1周できるか心配されている方も居た．それでも，レースに向けてカートを組み立て，フリー走行の結果をすぐに取り入れて調整を進める姿はとても活気があり，その挑戦心には期待が高まった．

フリー走行では坂道を上れるかなどをチェックする

■レース・スタート！
14時15分にレースがスタート．ドライバたちはそれぞれ，自分なりのスタイルでカートを操りながら，レースに臨む．空気抵抗を少しでも減らそうと，ほとんど寝そべるような姿勢で挑む人が居れば，少し前かがみになって走る人も．もちろん，しっかりとハンドルを握り，丁寧にコースを選びながら走る姿も見られた．それぞれが何が最適なのか試行錯誤している様子は，とても興味深く，見ているこちらも引き込まれた．

レース，スタート

空気抵抗を減らそうとするドライバ

■結果
レースの勝敗は，30分間でどれだけの距離を走行できるかで決まる．コースには高低差があり，調整の難しさから1周もできなかったチームもあったが，幸運なことに事故やけが人はなく，無事にレースは終了した．
トップのチームは，難関であるSPA直入のコースを見事に10周（1周は1,430m）を走破した．昨年の優勝チームが9周だったことから，更に記録を伸ばしたことになる．チームの皆さんのその健闘には，心から敬意を表したい．

1位：筑紫台高校自動車研究部
チーム名：R30
ドライバ：吉川大翔さん
周回数：10周

2位：久留米工業大学工学部交通機械工学科
チーム名：FIRE1
ドライバ：吉野貴彦さん
周回数：9周

3位：久留米工業大学工学部交通機械工学科
チーム名：ECOM
ドライバ：松尾知武さん
周回数：9周

おめでとうございます！皆さんの素晴らしい走りに拍手．