Interface編集部
展示会レポート:MEMSセンシング&ネットワークシステム展,2026年1月28日~1月30日
2026年1月28日(水)~1月30日(金),東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」が開催された.主催は一般財団法人マイクロマシンセンターである.
●布のスピーカ
センシアテクノロジーは,薄く柔らかい「ファブリックスピーカー・ポータブル」を展示した.同社は産業技術総合研究所発のベンチャー企業である.本製品は導電性繊維を用い,面全体から音を放出できる革新的なスピーカである.従来の接着技術とは異なり,独自の縫製技術のみで材料を積層することで,接着剤による硬さを排除し,布本来の柔軟な風合いを維持することに成功した.
制御回路は手のひらサイズで,重量は100g以下と極めて軽量である.ワイヤレスで十分な音圧出力が可能で,壁に掛けるタペストリ用途や,寝具に敷設して寝ながら音楽を楽しむといった使い方が提案されていた.
低音の再生は苦手で,再生周波数帯は80Hz以上とする.音圧レベルは68dB@1m.電源はモバイル・バッテリなどによるUSB給電(3.7~5V)で動作する.

写真1 ファブリックスピーカー・ポータブル
●毛細血管再充満時間を計測する装置
産業技術総合研究所は,客観的な評価を可能にする「携行型CRT計測装置」を展示した.
毛細血管再充満時間(CRT:Capillary Refill Time)は,手の爪を数秒間圧迫し,解放後に血液が再充満するまでの時間を指す.敗血症性ショックや脱水の簡便な指標として救急医療で用いられているが,従来の目視による計測は定性的であり,国際的な計測指針が存在しないため,再現性や安定性に課題があった.
本装置は,実験により導出された最適条件である「5Nの圧力を3秒以上維持」するよう使用者を誘導するフィードバック機能を備える.加えて,皮膚の色変化をカラー・センサで自動計測する.実験結果から,目視法と比べて高い再現性を持ち,計測ばらつきを大幅に抑制できることが確認されている.
末梢循環不全を判断するしきい値は2.82秒とされ,正常と異常を高精度に識別する.本装置は小型・軽量(約66g)で充電式とされ,医療現場での実用的な活用が期待されている.

写真2 携行型CRT計測装置
●音波で通信するモジュール,外付けデバイス不要でスマートフォンが受信機に
スマートソリューションテクノロジーは,音波通信モジュール「TrustSound」を展示した.可聴域(18k~20kHz)の音波を用いてデータを伝送する方式であり,スマートフォンやタブレットの内蔵マイクで直接受信できる点が特徴である.専用の受信機は不要である.
ビット・レートは低いため画像伝送には対応しないが,会場ではSTマイクロエレクトロニクスやルネサステクノロジーのマイコン・ボードに外付けモジュールとして接続され,温湿度センサのデータがタブレットに表示されていた.
通信距離は数cm~数十mで,1対N通信が可能である.音波は壁を透過しにくいという物理特性を持つため,通信エリアを限定した高いセキュリティ性を実現できる.また,電波を使用しないため電波法に基づく製品審査期間を短縮できるほか,オフライン環境でも利用できる点が利点として挙げられていた.

写真3 音波通信モジュールTrustSound

















