Interface編集部
EVミニカート・レース九州大会 2024結果報告
2024年2月15日,EVミニカート・レース九州大会がSPA直入(大分県竹田市)で開催された.主催はCQ出版(協力:福岡工業大学).5校13チームが参加した.
写真1 大分県にあるSPA直入1430m,高低差21.2m(反時計回り)
●参加者紹介
福岡工業大学からは5チーム,学生15名と先生3名.
SRモータを研究する大山研究室のメンバーと,高温プラズマの計測法について研究する松尾研究室のメンバーが中心.
写真2 福岡工業大学のメンバー
日本工業大学からは1チーム,学生5名と先生1名.
ブラシ付きモータを研究する上野研究室のメンバー.
写真3 日本工業大学 上野研究室のメンバー
筑紫台高校からは2チーム,生徒5名と先生2名.
自動車部の1,2年生.2年生の齊藤 煌太選手は2回目の九州大会,前回のディフェンディング・チャンピョン.昨年のつくば大会にも参加し,総合6位,学生部門2位の成績を納めている.
写真3add 福岡県筑紫台高校のメンバー
日本文理大学からは1チーム,学生5名と先生2名.
電気自動車プロジェクトの1,2,3年生.機械電気工学科の学生が中心.このプロジェクトでは,EVミニカートのほかに電動キックボード開発にも取り組んでいる.
写真4 日本文理大学のメンバー
久留米工業大学からは 3チーム,学生9名と先生3名.
ものづくり実践プロジェクトの学生が参加.週一のペースで集まり,車両組み立てやモータのコイル巻きに取り組んでいる.同プロジェクトは学生フォーミュラにも参加している.九州大会は,昨年に引き続き2回目の参加.
写真5 久留米工業大学のメンバー
●当日の流れ
到着・準備 10:30~11:30
受け付け 11:30~12:00
ブリーフィング12:15~12:30
車検 12:30~13:00
テスト走行 13:00~14:00
コースイン 14:00~14:10
レース決勝 14:15~14:45
表彰式 15:15~15:40
以降は当日の様子.
●到着,車体の組み立てと点検
各チームが大学のバスやトランスポータで会場入り.早速,パドックで車体を下ろして点検を始める.
写真6 車両点検を始めたところ
●車検
車検の様子.各自セルフ・チェック後,車検員より車検を受ける.
安全性および公平性を見極めるための車体検査の後,ドライバの計量(ヘルメット,ウェア装着時
55Kg)が行われる.規定体重に満たない場合は,バラストの搭載が義務付けられる.
●テスト走行
レース前にテスト走行ができるのが,九州大会の良いところ.つくば大会はテスト走行ができないため,開始直後にリタイアする車両もある.
SPA直入のコースは全長1,430m,高低差が21.2m.最大斜度8.5%の上り坂をいかにクリアするかが課題となる.
写真7 1時間のテスト走行タイムがある
●レース開始
レース直前,各車がコース・イン.
写真 8 いよいよコースイン
写真9 福岡工業大学工学部電気工学科,チームD,ゼッケン4番 塚本 大航 選手
写真10 久留米工業大学工学部電気工学科,KITEV01,ゼッケン6番 永本 凌 選手
写真11 福岡工業大学工学部電気工学科,チームA,ゼッケン1番 木村 奈津希 選手
写真12 福岡工業大学工学部電気工学科,チームB,ゼッケン2番 上野 優真 選手
写真13 福岡工業大学工学部電気工学科,チームC,ゼッケン3番 吉元 昂平 選手
写真14 久留米工業大学,KITEV03,ゼッケン8番 千北 琉太郎 選手
写真15 久留米工業大学,KITEV02,ゼッケン7番 中村 亮介 選手
写真16 日本工業大学 電気電子通信工学科 上野研1,ゼッケン11番 皆川 晴翔 選手
写真17 福岡工業大学工学部電気工学科,チームZ,ゼッケン5番 三嶋 航平 選手
写真18 筑紫台高校 自動車研究部,R30-1,ゼッケン10番 黒岩 拓真 選手
写真19 筑紫台高校 自動車研究部,R30,ゼッケン9番 齊藤 煌太 選手
写真20 日本文理大学 電気自動車プロジェクト,ゼッケン13番 飯川 晋作 選手
写真21 日本工業大学 電気電子通信工学科 上野研2,ゼッケン12番 新井 瑞基 選手
写真22 チェッカーフラッグが振られるとレース開始
写真23 各車そろりそろりと走り出す
写真24 第1コーナーの立ち上がり
写真25 上り坂
写真26 下り直線
●結果
写真27 表彰台にて
1位は久留米工業大学の,KITEV01,ゼッケン6番 永本 凌 選手.スタートの4番グリッドから1周目トップで戻り,それ以降も2位を明け渡すことなく,見事トップで9周目のチェッカーを受けた.
車検の際にドライバの最低重量55kgに1.7kgほど足りず,重りを追加して,ピッタリ55kgに合わせた成果が出た.駆動プログラムやモータ・ドライバは標準品.キャンパス内坂道でのテスト走行が功を奏したか.
2位は福岡工業大学のチームD,ゼッケン4番 塚本 大航 選手.8周でゴールとなった.レース中にモータの巻き線を,6直1並列(登り坂用)⇔2直3並列(平地,下り)切り替え可能にした.実際には2直3並列で走行することがほとんどだったとのことだが,努力が実を結んだ形となった.
3位は日本工業大学の上野研2,ゼッケン12番 新井 瑞基 選手.モータの特性を測り,いろいろな巻き方を試して大会に臨んだ.スタートは13番目,しんがりから怒涛の9人抜きとなった.
写真28 1位の永本選手
写真29 2位の塚本選手
●表彰式
写真30 賞状を手にする3位の新井選手
写真31 レース後の集合写真.皆さん楽しそうでした
●レース後の打ち上げ
レース後は福岡工業大学のセミナハウスにて打ち上げが行われた.日本文理大学および日本工業大学の学生と先生が加わり,EVミニカートについて語り合った.
写真32 福岡工業大学のセミナーハウスにて.ここは食事が本当に美味しい
●翌日
翌日は福岡工業大学のセミナハウスで成果報告会.日本工業大学の学生も参加した.
モータの巻き方,線形の工夫,電力回生回路,モータ特性,進角調整による電流特性について,発表があった.
写真33 成果報告会.1年間,お疲れ様でした
●全体を通して
昨年が九州大会の第1回.会場はオートポリス・レイクサイドコース(大分県日田市,現在はメンテナンス中)だった.こちらは,いかにもサブコースで,路面状況はお世辞にも良くなく,路面の亀裂や盛り上がりなどの箇所が散見された.そのため,コース・レイアウトも標準的で,高低差があまりないにも拘わらず,周回数はさほど伸びなかった.
前回は,6チーム走行中,多くのチームが最大勾配の坂を息も絶え絶えに登って,バッテリを消耗していた印象が強かったが,今回は,車検後1時間のテスト走行中こそ,途中停止する車両もあったものの,本線がスタートすると各車がスムーズにホームストレートを下り,1コーナへトラブルなく入って行った.2コーナ以降の上り坂も,各車,無駄のないラインどりでコースを駆けている.
今回は5校,13チームが参加するレースとなり,自ずと緊張感を持つ良い雰囲気となった.レース中盤には,4周,5周と着実に周回を重ねる車両と,なかなか最終コーナから姿を現さない車両とで差が付き始めたが,最終的にはトップが9周に対して最下位でも4周と健闘した.
30分でチェッカーフラッグが振られ静かで熱い戦いが幕を閉じた.本大会は,どのチームも事前にコース戦略を立て,それに合わせた車両の作り込みが行われていた.全体的なレベルアップを感じた.