Interface編集部
FPGAベンダGOWIN 最高経営責任者 Jason Zhu氏インタビュー
EdgeTech+2022
FPGAベンダGOWIN 最高経営責任者(CEO) Jason Zhu氏インタビュー[PR]
~2022年11月16日パシフィコ横浜にて,聞き手:Interface編集部~
●どのような会社ですか
GOWIN:GOWINは,ICデザイン・エンジニア歴20年以上のJason Zhu(以降:ジェイソン氏)と,EDA開発を率いているNing Song博士が,ユーザのクリエイティビティ(創造性)に重きを置く会社として2014年に設立しました.最終的にお客さんが組み込んだものをどう市場に展開していくのか,そこを意識していることが会社の価値だと認識しています.
●どのような製品を展開していますか
GOWIN:Tang nanoボード(Sipeed社)に搭載されている,エンベデッドFlash型の小型FPGA(LittleBeeファミリ),ワンランク上のベーシックなSRAM型FPGA(Aroraファミリ),それぞれにはさらにpSRAMやSDRAMなどの追加のメモリを実装した他社とは異なるユニークな製品展開を行っています.他社にはないUSBソフトPHYのIPも開発しました.また,LittleBeeファミリには市場の要望に応えてセキュリティ機能を強化したデバイスやArm Cortex-M3を搭載したデバイスも提供しています.ユーザに寄り添い,いろいろなサポートができる製品作りからスタートしています.
●企業文化について
GOWIN:GOWINをビジネス面と企業文化の側面で見た場合,例えばビジネス面においてTang Nanoをサポートすることは売り上げにはほぼ寄与していません.
先述の通り,GOWINはクリエイティビティの思想に重きを置いている会社です.教育やホビーにTang Nanoのような製品が使われるための裾野を広げていきたい.特に若い方が使いやすい製品が市場に進出すれば,最終的にGOWINを,Tang Nanoをやっている企業だと知ってもらえます.そのためのサポート活動は大切だと考えています.
●ビジネスについて
GOWIN:設立以来,出荷数量が累計5000万個を突破しています.中国の市場からスタートして,中国以外の市場では売り上げが10倍に伸びています(2021年の時点).GOWINの主なターゲット市場はインダストリです.次は車載オートモーティブ.車載は中国での販売が主で,今後日本に向けても活動したいです.
EVの普及もあり,GOWINは中国のFPGAメーカとしてNo.1サプライヤのポジションとなっています.GOWINのデバイスは,主に台湾のTSMC社のファブ(半導体製造施設)で製造しています.LittleBeeとAroraはプロセス・ルールが55nmです.今回発表したArora Vも同様にTSMC社の22nmを使っています.
AEC-Q100(車載規格)を取得済みですが,来年に向けて機能安全ISO26262を取得するべく計画を進めています.
●将来のロード・マップは
GOWIN:先々の製品開発に取り組んでいます.来年の2Qに今回発表したArora Vの60K LUT製品のESが発表されます.これが製品ラインアップの1つの区切りになります.これに並行してArora 7シリーズの開発に着手しています.
市場はクラウドやデータ・センタも視野に入れていますが,インダストリを主軸に継続していく方針です.
現在は,ユーザは部品を入手できなかったり,将来的なロードマップが把握しづらかったりするケースが増えています.GOWINはその様な問題を解決するためにインダストリ市場に製品を投入し続けます.
●日本市場の位置づけ
編集部:日本市場の位置づけというか,中国を含め売り上げトップ5の国を教えていただいて,おおよその比率を聞かせていただけないでしょうか.
GOWIN:GOWINは日本市場を重要視しています.とくに日本市場はユニークで他国とは違うことにフォーカスしています.
市場売り上げは4つのリージョンで分けています.1位中国,2位アジア・パシフィック(日本含む,中国以外),3位アメリカ(カナダ含む),4位EU(アフリカ,中近東も含む),中国が55%,中国以外が45%です.中国以外の売り上げが10倍以上だと先述しましたが,中国国内も大きく伸びています.
追い風になったのがコロナの影響です.サプライ・チェーンの問題や,競合他社が注目している市場が変わったため,今まで介入できなかった市場に進出できたので,売り上げを大きく伸ばせました.
●製品のパッケージについて
編集部:QFPやBGAなどFPGAのパッケージ規格は需要が先行するのですか?作り手側はどうやって判断するのかを教えてください.
GOWIN:パッケージは市場のニーズに左右されます.作り手側としてもBGAは好みません.デバッグが難しい上に高価,ユーザにしてみればちゃんと実装されているかの確認も難しい.ただ,省スペースで多くのI/Oが必要なユーザにはBGAを供給します.
基本的にはGOWINにとってもQFNやQFPのほうが流通させやすいです.BGAはリード・フレーム1つとっても,チップ中のPCBをそれぞれカスタムで作らなければならないのです.
汎用的なパッケージであれば,汎用のリード・フレームが使えます.ピン数はQFNの場合,最大88ピン,QFPの場合最低100ピンくらいです.スペースの問題とI/O数で最適化したものが最終的にリリースされます.