無線規格一覧 2.4GHz/920MHz/LTE/5G

周波数帯ごとの特徴

(出典:Interface2020年12月号特集「無線モジュール規格別プログラム集」第1部第2章から抜粋,著者:松江 英明)

無線局免許が不要な周波数帯は簡易に使用できることから,マイコンなどのIoTデバイスで通信するために積極的に使用されています.
免許がなくても通信用に使用できる周波数帯は幾つかあります.その中でも使用頻度の高い周波数帯の特徴を解説します.各システムの位置づけとして通信距離と通信速度で表した関係を図1に示します.表1に5 つの周波数帯とその主な特徴を示します.

 

表1 5 つの周波数帯と特徴

周波数帯 315MHz帯 429MHz帯 920MHz帯 2.4GHz帯 5GHz帯
適合規格 ARIB
STD-T93
ARIB
STD-T67
ARIB
STD-T108
ARIB
STD-T66
ARIB
STD-T71
適用システム 独自 独自 LPWA,Wi-SUN
など
Wi-Fi,Bluetooth
,ZigBeeなど
Wi-Fi
周波数
[Hz]
312M~
315.25M
426.025M~
429.7375M
920.5M~
928.1M
(特定小電力
無線局)
2.400G~
2.4835G
2.47075G~
2.497G
5.17G~5.25G
5.25G~5.35G
5.49G~5.71G
1チャネル
当たりの
帯域幅
1MHz 8.5kHz 200kHz 26MHz(Wi-Fi
スペクトル拡張)
20MHz(Wi-Fi OFDM)
1MHz(Bluetooth)
20MHz
(Wi-Fi
OFDM)
空中線電力 25μW 10mW 20mW 10mW
10mW/MHz(OFDM)
10mW/MHz
(OFDM)
送信時間制限 あり あり あり なし なし
伝送速度
[bps]
200~3k 1.2k~4.8k 0.1k~5k(LPWA)
~200k(Wi-SUN)
11,54,600M(Wi-Fi)
1M(Bluetooth)
54,600M
6.9G(Wi-Fi)
適用変調方式 ASK FSK CSS,BPSK DSSS,FHSS,OFDM OFDM
通信距離 ~50m ~10km ~10km ~50m ~50m

 

IoT 用途で注目される920MHz 帯

920MHz帯は,当初950MHz帯であったものを世界標準に準拠することを目指して2012年にARIB STDT108規格として割り当てられました.
この帯域は,無線局免許が不要な特定小電力無線局や電波免許が必要な簡易無線局などの用途があります.特定小電力無線局かつ空中線電力20mWの規格がマイコン用として最も使用されています.表2にLPWAシステムの概要比較表を示します.

表2 LPWA は最大通信距離10km 程度

通信規格 SigFox LoRaWAN ELTRES
運用形態 1国に1事
業者※1
自営/地域
通信事業者
地域通信事
業者を想定
帯域幅 100Hz 150kHz 150kHz
上り:
通信速度
96ビット/6s
(100bps)
5kbps~
200kbps
102ビット/16
s(6.35kbps)
ペイロー
ド・サイズ
~96ビット 88~
176ビット
102ビット
下り:
通信頻度
4回/日 上り回線
の直後
なし
変調方式 DBPSK CSS BPSK
受信感度 -145dBm -123dBm
~-137dBm
-146dBm

※ 1:日本では京セラコミュニケーションシステム社