2023年8月号 特集 モデルベース[超]入門 サポート・ページ

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これからのモノづくりはこれ!8月号の特集テーマは「モデルベース」

開発の現場や大学の授業,研究室などで,「MATLAB」や「モデルベース」という言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか.
モデルベース開発(MBD:Model-Based Development)やMATLAB/Simulinkは,現在多くの企業や大学の研究で使われています(図1). MATLAB/Simulinkの開発元であるMathWorks社とサブスクリプション契約を結んで,Microsoft 365のように使い放題の企業や学校も多くなっています.ここでは,あまりなじみのない人にも分かるように,モデルベース開発のメリットを紹介します.

 

 

●「モデル」とは…便利で有益な模倣品
モデルベース開発では,本物の代わりに,本物の物理現象から必要なところだけを抽出し,簡略化した「モデル」と呼ばれる物を使います.モデルは,例えばプラモデルや住宅のモデル・ルームなど,少し乱暴ですが「有益な模倣品」と考えるとわかりやすいと思います.
図2に示すようなスーパーカーの1/24プラモデルは,本物ではないので当然運転はできません.材質も大きく違います.ここで,プラモデルの目的を「自分で組み立てたスーパーカーを眺めて満足感を得ること」だとします.実際のスーパーカーを組み立てるのは困難ですが,1/24のプラスチック素材の部品であれば,図面(仕様書)に従って組み立てられます.組み立てることを楽しんで,なおかつ1/24の縮尺であっても満足感を得られると思います.
要は,モデルとは目的に合わせて本物から必要なところだけを抽出し,簡略化した「便利で有益な模倣品」だと思ってください.

 

●モデルベース開発のメリット
▼その①…危険やコストを伴わずに何度も設計をやり直せる
モデルはシミュレーションによって動かせる仕様書です.このため,設計したモデルはシミュレーションで効率よく確認できます.
従来は図3のように実物を作って動作確認をしていたので,お金と時間がかかっていました.また,間違った設計により,壊れたり爆発したりする危険がありました.

図3 モデルベース開発なら危険やコストを伴わずに何度も設計をやり直せる

 

▼その②…直感的に設計できる
今回の特集では,モデルベース開発ツールとして,MATLAB/Simulink,Simscapeなどを使いながらモデルを設計します.図4のように直感的に設計できます.

図4 モデルベース開発なら直感的に設計できる

 

▼その③…制御機能も持っている
シミュレーションだけであれば,SPICEなどの電子回路シミュレータにも同じ機能があります.しかし,MBEを使ったツールの多くは制御機能も持っています.

▼その④…自動コード生成機能
モデルから自動でコードを生成できます.モデルからCまたはC++のコードを自動生成できるので,組み込みシステムに実装できることが4つ目のメリットです.ただし,今回の特集ではこの自動コード生成機能は使用しません.

▼その⑤…機械系や電気系などを結合できる
MATLAB/Simulinkというと,機械系の設計に適していると思われがちです.機械系だけでなく,電気系など複数の物理現象をモデルで統合できる(マルチフィジックス)のが5つ目のメリットです(図5).

図5 機械系だけでなく電気系などマルチフィジックスでモデルが結合できる

 

▼その⑥…世界共通!動く仕様書
モデルは世界の共通言語と言っても過言ではありません.世界の共通言語は英語だというのも事実です.しかし,今や世界のエンジニア同士はモデルを共通語のように扱っています(図6).設計の意図はモデルの中に入っていますし,実際に動かしてみることもできます.設計の現場で,モデルでやりとりしてお互いに確認し合うことができる点が6つ目のメリットです.
8月号の特集で扱うモデルは,全て付録DVD-ROMに収録してあります.Windows,Mac,LinuxのPC さえあれば,実際に動かしてみることができます.

図6 動く仕様書である「モデル」は世界中のエンジニアの共通言語のように扱われている

 

●シミュレーション結果をアニメーションで確認できるアプリケーションを用意
モデルベース開発のシミュレーション結果は,グラフ形式でみるのが主体で,直感的に結果を見ることができません.8月号の特集では,シミュレーション結果をCSV形式で出力して,アニメーションで動作を確認するアプリケーション(SILS:Software In the Loop Simuration)を必要に応じて用意しています(図7).このアプリケーションは,Windows版とMac版を用意していて,付録DVD-ROMに収録しています.

 

図7 特集でのモデル確認の流れ