無線通信モジュール一覧 LoRa

(初出:Interface2020年12月号特集「無線モジュール規格別プログラム集」第1部第1章,筆者:水上 久雄,田中 正幸)

LoRa

LoRaは利用の仕方が2種類あります.以下で解説します.
● 通信費用がかからないプライベートLoRa
物理層にLoRa変調を使っていますが,上位のプロトコルなどは各社が独自に開発しており,対応する通信モジュールが各ベンダから販売されています.
送信側モジュールと受信側モジュールも併せてベンダが提供しているか,同じモジュールで互いに送受信できるようになっています.
ゲートウェイ(親機)はユーザが設置し,ネットワークを構築する方式なので,通信費用はかかりません.ベンダがゲートウェアとして販売しているデバイスを使用するか,ユーザが受信用モジュールを使ってゲートウェイを自作します.
ベンダごとの互換性がないため,汎用性がないことがデメリットです.
● 主に事業者が提供するネットワークに接続するLoRaWAN
LoRa Allianceが規定した低消費電力,長距離通信を特徴とした無線規格となります.規格仕様はLoRa Allianceによって公開されています.
FSKの使用も可能ですが,基本的にはSemtech社(LoRa Allianceにも加入している)が開発した長距離伝送向けのLoRa変調を使っています.LoRa変調はCCS(チャープ・スペクトル拡散)という方式をベースにしており,拡散率を上げることで受信感度を上げることができます(通信速度は遅くなる).
LoRaWANのネットワークは,IoT デバイスおよび,LoRaWANゲートウェイ(基地局)そしてネットワーク・サーバで構成されます.
ゲートウェイはIoTデバイスのデータの送受信を取りまとめ,ネットワーク・サーバと仲介を行い,ネットワーク・サーバがルーティングや暗号化,復号化を行います.⽇本ではセンスウェイ,The Things Network,SORACOM,NTTネオメイトなど複数の事業者がサービスを提供しています.
センスウェイはゲートウェイの全国への設置を進めており,The Things Networkという団体は,LoRaWANクラウド・サーバを提供し,無償で利用できます.
規格が公開されているため,ユーザがゲートウェイを開発したり,ネットワークの一部を構築したりすることも可能であり,柔軟な構築ができるのも特徴です.

※1 型名 準拠
規格
送信
出力
データ・
レート
電源
電圧
[V]
ホスト・
インター
フェース
アン
テナ
参考
価格
[円]
入手先
AL-050 12.13mW,
12.19mW
0.24~
18.22kbps
2.2~
3.6
UART 外付 7,980 SORACOM
IoT ストア
LPS8-JP LoRa
WAN
55mW 28,380 ※2
SENSEWAY -001 12.13mW,
12.19mW
0.24~
18.22kbps
2.2~
3.6
UART 内蔵 6,518 スイッチ
サイエンス
SENSEWAY -003 20,166
STM32L0 LoRa Discovery Kit 20mW 300bps 3.3/
5.0
I2C,SPI,UART,USB 外付 8,580 SORACOM
IoT ストア
PLM100 RBP-02 LoRa 0.3~
5.4kbps
2.1~
3.6
8,000 コア
スタッフ
CMWX1ZZABZ-078 LoRa
WAN
+18.5dBm 2.2V~3.6V UART,
SPI,I2C
TMN-0124 20mW 121bps~10937bps 1.9V~ +3.6V UART,I2C,
DI,DO,
アナログ入力
ES920LR
RN2903 +18.5dBm 12.5kbps 2.1~3.6
FWM7SLZ02A +13dBm

①ARIB,②Dragino,③SenseWay,④STマイクロエレクトロニクス,⑤佐鳥電機,⑥村田製作所,⑦上田日本無線,⑧EASEL,⑨Microchip,⑩富士通