【USBコラム02】
大混乱!? 規格書のRevision,Version,Generationの違い

USBの規格書には,RevisionとかVersionとかGenerationといった,似たような概念の単語が飛び交っています.しかも,ある程度は統一されて使われているのですが,全ての仕様書に渡って使われている統一的なルールはないようです.ですから,この仕様書ではこのように使われているというのを仕様書ごとに受け入れるしかなさそうです.

 

そこで,いくつかの仕様書をピックアップして,これらの単語がどのように使われているのかを説明します.

 

● USB 2.0やUSB 3.2ではRevision

まず始めはUSB 2.0です.この仕様の正式名称は,Universal Serial Bus Specification,Revision 2.0です.USB仕様ではRevisionが使われています.そして,USB規格の最新版がこのRevision 2.0になります.「えっ,3.2があるでしょ」と思われるかもしれませんが,実はUSB 3. xはUSB規格のRevision 3. xではないのです.

 

USB 3.2 の正式名称は,Univeral Serial Bus 3.2 Specification, Revision 1.0になります.そうです,USB 3.2 という名前の規格のRevision 1.0なのです.同様にUSB 3.0やUSB 3.1も,USB 3.0やUSB 3.1という名前の規格でした.「でした」と過去形なのは,今はUSB 3.0という規格もUSB 3.1という規格も存在しないためです.これらはUSB3.2 規格に発展してなくなりました.USB 2.0が併存しているのとは事情が違います.

 

● USB 3.1で登場したGeneration

USB 3.1ができたときに,Gen1やGen2といったGenerationという単語も使われるようになりました.これらは規格のGenerationではなく,転送レートのGenerationを表しています.つまり,5GbpsがGen1で,10GpbsがGen2です.

 

USB 3.0のときには5Gbpsしかないので,Gen xとかという呼び名はありませんでした.USB 3.1になって10Gbpsが追加されたときに,5GbpsをGen1と呼び,10GbpsをGen2と呼ぶことにしました.なお,USB 3.1では転送レートだけでなく,プロトコル仕様にも若干変更が入っているので,厳密に言うと,

 

USB 3.0 ≠ USB 3.1 Gen1

 

です.事実,USB 3.1 が出た当初は,USB規格推進団体 USB-IFからはUSB 3.0仕様に基づいて設計された製品をUSB 3.1 Gen1と呼んではいけないとガイドされていました.しかし,細かい差異を気にしても仕方ないということで,途中からUSB 3.1Gen1と呼んでも良いことになりました.そしてUSB 3.2 が出たときに,次のようにそれぞれ呼び名が変わりました.

 

USB 3.1 Gen1 → USB 3.2 Gen1
USB 3.1 Gen2 → USB 3.2 Gen2

 

ただし,USB 3. x Gen y,あるいは単にGen y という単語は,プロトコル層も含めた規格全体のことを指す場合もあるので,転送レートのことだけを指しているか,規格全体のことを指しているのかを文脈から判断する必要があります.またGen yという単語も,文脈からUSB のことだと明確な場合は良いのですが,そうでなければUSB 3.2Gen2のようにUSBであることを明示する必要があります.

 

例えば,PCI ExpressにもGen xという呼び名があるので,両方が出てくるような文脈ではどちらのことをいっているのかを明示しないといけません.しかも,PCI ExpressではGen1= 2.5Gbps,Gen2= 5Gbps,Gen3= 8Gbps,Gen4= 16Gbpsとビットレートの定義も違うのでなおさらです.

 

● USB4ではVersionが使われるように・・・

そしてUSB4です.正式名称はUSB4 Specification, Version 1.0になります.なぜかRevisionでなくVersionに変わりました.なお,数字の4の部分も規格名称の一部で,しかもUSB4という空白なしの1つの単語です.今後規格のアップデートがあっても,USB 4.0やUSB 4.1 などにはならないことも公表されています.

 

● Power DeliveryはRevisionとVersionの両方!

最後にPower Delivery とUSB Type-Cの例を挙げて,さらにカオスなことになっているのをお見せします.Power Delivery 3.0の正式名称は,Universal Serial Bus Power Delivery Specification, Revision 3.0, Version 2.0になります.なんとRevisionとVersionの両方が使われています.Revisionがバス・プロトコルの版数を表し,Versionがそのプロトコルに基づいた仕様書の版数を表しているそうです.

 

● USB Type-CではReleseに!?

そして,USB Type-C の正式名称ですが,Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification, Release 2.0となります.なぜいきなりReleaseに!?

 

(書籍「USB Type-Cのすべて」コラム1.Bより)

 

 

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