EVミニカート・レースつくば2022 結果報告

2022年10月2日(日),つくばサーキット(茨城県下妻市)において,一人乗りEVミニカートのレース大会が開催された.主催は日本自動車レース協会(JEVRA),運営はCQ出版.30分間でサーキットを何周できるかを競い合う.

つくばサーキットに足を踏み入れると,ふだんカーレースを視聴しない筆者(Interface編集部:野村)でも,なぜかドキドキする

 

このEVミニカートは,ベース車体とモータ外形,バッテリは共通.参加者はモータの巻き線やモータ・ドライバ・ボードの作りこみ,モータ駆動プログラムの腕を競い合う.

90kgくらいの大人が乗っても20km/h以上で走行できるEVミニカート.巻き線のくふうでモータ出力は200W 以上出る.

 

晴天に恵まれたこの日,社会人7チーム,学生15チーム,会場には約100名が集まった.
11:00に受付をはじめ,レースは15:30から.

参加者一覧はコチラから

受付の様子.真ん中に写っているのはInterface編集部のおしゃれ番長.

 

初参加のつくば自動車大学校は,CQ出版から購入したブラシレス・モータ&インバータ・キット2をそのまま利用した.
モータ巻き線のくふうや,車輪軸の摩擦を減らすくふうをした.

車輪を外して軸を磨く学生たち.

 

初参加のシステムニコルは,車輪の回転数とGPSモジュールで速度を取得し,クラウドにデータをアップするシステムを搭載した.データはウェブで閲覧できるようにした.

IoTシステムの受託も手掛けるシステムニコル,GPS情報をクラウドにアップし,ブラウザで閲覧できるようにした

 

福岡工業大学は6チームが参加.3年生 伊藤大弥さんはCQ出版提供のプログラムをやめ,アクセルに比例してPWMのデューティ比を変えるだけのシンプルなプログラムでレースに挑む.この場合,スタート時にアクセルを開きすぎると,ブレーカが飛んだり,MOSFETが焼損したりすることが考えられる.レース結果が楽しみ.伊藤さん曰く,2月の学内のレースまでにはベクトル制御などを実装する.

写真はドライバの西さん.勝敗は西さんのアクセル・ワークにかかっているそう

 

初参戦の東京大学は,ブラシレス・モータ&インバータ・キット2を利用,自身で作った正弦波駆動で挑む.乗車するのは中学校からプログラミング経験のある板原正太朗さん.

初参戦,試走コースがなく,テストが十分で無いことを気にしていた.プログラムはここ2,3日で完成したそう

 

明治大学は2チーム.うち1チームはブラシレス・モータ&インバータ・キット2を利用していた.標準プログラムから速度PI制御を消して,電流PI制御を残した.PI制御の関数を自作したり,トルク・パラメータを調整した.ドライバは木戸亮太さん.

 

もう1チームは明治大学 久保田研究室オリジナルのモータ・ドライバ・ボードとマイコン・ボード.なんとモータ・ドライバ・ボードを2枚搭載し,モータ印可電圧を2倍にしたそう.

久保田先生にしつこく動作原理を尋ねたが,紙も鉛筆もない状況,しかもレーシング・カーの轟音が混ざり,理解できなかった

 

車検の様子・・・ドライバには体重制限があり,学生は55kg以上,社会人は65kg以上であることを求められる.足りない場合はタンベルやペットボトルなどの重りを利用する.

 

15時・・・いよいよレース場に向かう.

 

レース開始直前・・・緊張感がたまらない.

 

結果一覧はコチラから見られます.

総合1位
勝田CS-01(日立産業制御ソリューションズ)
ぶっちぎりの1位でした.マイコンはRX62T,オリジナルのモータ・ドライバ・ボードです.

 

総合2位,学生1位
DWカート(明治大学 電機システム研究室)
学生が総合2位です.久保田研究室オリジナルのモータ・ドライバ・ボード2枚利用が活きました.

 

総合3位
ふじちゃん(ふじちゃんず)
毎年の常連さん,一家で来てくれます.総監督はトランジスタ技術で何度も執筆してくださっています.ブラシレス・モーター&インバータ・キット1(ルネサス マイコン搭載)を使用して,プログラムはオリジナルです.

 

総合4位
Z1(小野塚レーシングZ)
モーターインバータキット2の開発者です.昨年はアンリミテッド・クラスで1位でした

 

総合5位,学生2位
マイコンGO!(明治大学 電機システム研究室)
モーターインバーターキット2を搭載しています.プログラムはオリジナルです

 

 

総合6位
頭文字N号(システムニコル EVカークラブ)
初参戦のチームです.仲の良さが印象的でした.来年もお待ちしております.

 

総合7位,学生3位
tact-02(つくば自動車大学校 Bチーム)
初参戦のチームです.ブラシレス・モータ&インバータ・キット2と,標準のプログラムを利用しています.足回りの整備をきちんとした成果が出ました.総合8位は同学のtact-01でした.

 

参加24チーム中,完走は16チーム,皆さんの充実した顔,悔しそうな顔が印象に残りました.来年もここで会いましょう.

 

おまけ

Interface編集部の永井君.FPGAマガジンを復刊させたいと燃えています

 

Interface編集部の仲井君.校正や依頼に大活躍です