Nordic Tech Tour Japan 2026レポート総括…Bluetooth LE,セルラIoT,Wi-Fi,電源管理における最新イノベーション

2026年1月28日,29日,2月4日,東京と大阪でNordic Tech Tour Japan 2026が開催された.主催はノルディック・セミコンダクター.

本イベントでは,低消費電力無線を得意とするノルディックの最新技術とプラットフォーム戦略が披露された.無線SoCに加え,ソフトウェアやクラウド,運用までを視野に入れた「チップからクラウドまで」の全体像が紹介された点が印象的だった.

写真1 Nordic Tech Tour Japan 2026 東京会場入り口

●ノルディック・セミコンダクターとは

ノルディック・セミコンダクターは,低消費電力ワイヤレス通信分野を中核とする半導体メーカであり,Bluetooth Low Energyをはじめとする無線技術で世界的な実績を築いてきた.現在では,セルラIoT,Wi-Fi,DECT NR+,電源管理IC,クラウド・サービスまで事業領域を拡大し,IoT機器開発に必要な要素を幅広く提供している.

同社の特徴は,単に半導体デバイスを供給するだけでなく,ハードウェア,組み込みソフトウェア,開発ツール,評価環境,学習コンテンツ,量産・運用を見据えたライフサイクル支援までを含めた総合的なソリューションを展開している点にある.この「チップからクラウドまで」を掲げたアプローチにより,多くのIoT開発者から支持を集めている.

図1 ノルディック・セミコンダクターの事業領域

●どんな製品をラインアップしているのか

ノルディックの製品ラインアップは,低消費電力と高信頼性を重視した無線SoCを中心に構成されている.Bluetooth LE対応SoCは同社の中核製品であり,マルチプロトコル対応によりThreadやMatterといったスマートホーム用途にも対応する.

一方で,NB-IoTやLTE-Mに対応したセルラIoT向けSoCや,低消費電力Wi-Fi 6を実現するデバイス,産業用途を見据えたDECT NR+対応製品など,通信方式の選択肢を広げている点も特徴である.さらに,電源管理ICやクラウド連携サービスを組み合わせることで,システム全体としての完成度を高める製品構成となっている.

図2 ノルディック・セミコンダクターの製品ラインアップ

●Tech Tour開催の目的

Nordic Tech Tourは,同社の最新技術や製品を単に紹介する場ではなく,設計思想や実装上のポイントをエンジニアと共有することを目的とした技術イベントである.参加者は,ノルディックのエンジニアやワイヤレスIoT分野の専門家と直接対話しながら,次世代デバイス開発に向けた具体的な知見を得ることができる.

特に,新世代SoCのアーキテクチャや,nRF Connect SDKを用いたソフトウェア開発の選択肢,消費電力最適化やセキュリティ設計の考え方など,実開発に直結する内容を深く理解してもらうことが,本イベント開催の狙いとされている.

写真2 Nordic Tech Tour Japan 2026 会場の様子

●どんなイベントなのか

2026年初頭に開催されたNordic Tech Tour Japan 2026は,東京と大阪の2都市で実施された対面型の技術イベントである.講演形式に加え,ライブデモやハンズオン,Q&Aセッション,ネットワーキングの機会が設けられ,参加者が能動的に技術へ触れられる構成となっていた.

対象は無線通信やIoT機器の開発に携わるエンジニアを中心としつつ,製品企画や研究開発に関わる技術者にも有益な内容が盛り込まれており,実務視点を重視したイベントである点が印象的であった.

写真3 講演,デモ,ネットワーキングの様子

●イベントの中身(概観)

会場では,第4世代マルチプロトコルSoCであるnRF54シリーズをはじめ,衛星通信(NTN)に対応したセルラIoT向けnRF91シリーズ,Wi-Fi 6対応のnRF70シリーズなど,同社の最新無線ソリューションが紹介された.

また,nRF Connect SDKを中心としたソフトウェア開発環境の解説に加え,nRF54L15開発キットを用いたハンズオン・ワークショップも実施され,実機を使った具体的な開発フローを体験できる内容となっていた.

図3 nRF54L15を使ったワークショップが行われた

さらに,Bluetooth SIG,Connectivity Standards Alliance,Zephyr Projectといった業界団体や,サイバ・セキュリティ分野の専門家による講演も行われ,無線規格や標準化動向,セキュリティ対策の最新情報が共有された.

写真4 セキュリティ専門家による講演の様子

エッジAIの活用,超低消費電力設計,長期運用を見据えたセキュリティなど,IoT開発における現実的な課題に直結するテーマが網羅されており,本イベントはエンジニアにとって実践的な知見を得られる貴重な機会となった.