Interface編集部
Nordic Tech Tour Japan 2026レポートその3 パワー・マネージメントICの戦略とnPMファミリ概要
ノルディック・セミコンダクターは,Bluetooth LEやセルラIoT,Wi-Fiなどの無線通信向け半導体を手がけるメーカである.2026年初頭,同社の最新技術を紹介する「Nordic Tech Tour Japan 2026」が東京と大阪で開催された.本イベントでは,nRF54,nRF91,nRF70の各シリーズを中心に,最新の無線ソリューションが紹介された.
以下では,Tech Tourにおける講演内容を,テーマごとに紹介する.
パワー・マネージメントICの戦略とnPMファミリ概要
小林 紀之
ノルディック・セミコンダクター
セールス&マーケティング アカウントマネージャー

写真1 パワー・マネージメントIC戦略に関する講演の様子
ノルディック・セミコンダクターは,無線SoCベンダとして知られているが,近年はパワー・マネージメントIC(PMIC)を重要な事業領域として位置付け,IoT機器に最適化した電源ソリューションを強化している.講演では,nPMファミリを中心に,その設計思想,製品構成,低消費電力技術,バッテリ管理技術,開発支援環境について解説した.
●nPMファミリ最大の特徴は高集積
nPMファミリの最大の特長は,高集積,柔軟性,使いやすさにある.従来は充電IC,DC-DCコンバータ,LDO,監視回路など個別の要素で構成していた電源回路を,PMICとして一体化することで,基板面積を約1/4に削減し,BOM削減と設計簡素化を実現する.
特にnPM1300は充電池向けPMICとして,バッテリ・チャージャ,複数の降圧型スイッチング電源や低損失レギュレータ,GPIO,LEDドライバ,ウォッチドッグ・タイマ,電源監視機能を統合している.
●製品ラインアップ
製品ラインアップは用途別に整理されており,nPM1100/1300/1304は充電池向け,nPM2100は1次電池向け,nPM6001は多出力電源向けという位置付けである.

図1 nPMファミリの製品ラインアップと用途区分
●nPM2100の事例
たとえばnPM2100は,昇圧型DC-DCコンバータと低消費電力なバッテリ・フューエルゲージを搭載し,コイン電池動作のIoT機器に適している.実例として,ゴルフボール内部に電子回路を内蔵した電子ミニゴルフ・ゲームでは,CR系電池で約7.5年の電池寿命を実現している.

図2 電子ミニゴルフ・ゲームでは,CR系電池で約7.5年の電池寿命を実現
電源効率の面では,負荷状態に応じてヒステリシス制御とPWM制御を自動切り替えする方式を採用し,10µAといった極低負荷時でも90%前後の高効率を維持する.さらに,出荷・保管時の消費電力を極小化するシップモード(約35nA)や,長時間スリープに対応するハイバネート・モードを備え,物流や実使用を含めたトータルの電池寿命延長を可能にしている.
バッテリ・フューエルゲージについて補足する.ノルディックは電圧ルックアップ・テーブル方式ではなく,電圧,電流,温度を用いたバッテリ・モデル・ベースのアルゴリズムを採用しており,負荷変動や温度変化に強く,高精度な残量推定を低消費電力で実現する.この方式は充電池だけでなく,アルカリ電池やコイン電池といった一次電池にも適用可能である.
●nPM PowerUPツール
開発面では,nPM PowerUPツールを用いることで,バッテリの電圧,電流,温度特性を基にしたプロファイリングやモデル生成,PMIC設定の可視化・最適化,さらにnRF Connect SDKとの連携までを一貫して行える.これによりSoCとPMICを一体として設計でき,電源設計の効率化と高精度なバッテリ管理,長期電池駆動の実現を支援する点が,ノルディックのPMIC戦略の特徴である.
















