Interface編集部
Nordic Tech Tour Japan 2026レポートその8 Wi-Fi 6 IoT戦略とnRF70/71シリーズの位置づけ
ノルディック・セミコンダクターは,Bluetooth LEやセルラIoT,Wi-Fiなどの無線通信向け半導体を手がけるメーカである.2026年初頭,同社の最新技術を紹介する「Nordic Tech Tour Japan 2026」が東京と大阪で開催された.本イベントでは,nRF54,nRF91,nRF70の各シリーズを中心に,最新の無線ソリューションが紹介された.
以下では,Tech Tourにおける講演内容を,テーマごとに紹介する.
Wi-Fi 6 IoT戦略とnRF70/71シリーズの位置づけ
小林 紀之
ノルディック・セミコンダクター
セールス&マーケティング アカウントマネージャー

写真1 講演の様子
ノルディック・セミコンダクターは,BluetoothやセルラIoTで知られる半導体ベンダであるが,近年はIoT向けWi-Fiにも本格的に注力している.紹介されたWi-Fiソリューションは,従来の高速・高消費電力なWi-Fiではなく,低消費電力・高信頼性を重視したWi-Fi 6 IoTにフォーカスしている点が大きな特徴である.

図1 IoT用途に最適化したWi-Fi 6の特徴
●IoTに最適化したWi-Fi 6
従来型のWi-Fiはスループット重視で,常時接続による消費電力の大きさが課題であった.一方,ノルディックのWi-Fi 6 IoTは,Target Wake Time(TWT)などWi-Fi 6の省電力機能を積極的に活用し,アクセスポイントと通信タイミングを同期させることで,待機時消費電力を大幅に低減する.これにより,バッテリ駆動のスマートホーム機器や産業IoT機器でも,Wi-Fiが現実的な選択肢となる.
●nRF70シリーズ:外付けWi-FiコンパニオンIC
nRF7000,nRF7001,nRF7002からなるnRF70シリーズは,MCU非内蔵のWi-Fi 6コンパニオンICである.SPI/QSPI経由で外部MCUと接続し,Wi-FiのMAC,PHY,RFを担当する構成となっている.2.4GHzおよび5GHzのデュアルバンド対応,Bluetooth LEやThread(IEEE 802.15.4)との高い共存性,WPA3対応の強固なセキュリティが特徴である(nRF7001は2.4GHzのみ対応).
講演では,すでにセキュリティ製品など実市場で採用され,低消費電力,高い接続安定性,堅牢なセキュリティにおいて高い評価を得ていることが紹介された.

図2 nRF70シリーズの構成とシステム接続例
●ソフトウェアとエコシステム
Wi-Fiホスト・スタックはZephyr RTOSと深く統合されており,CoAP,MQTT,HTTPなど主要プロトコルを標準サポートする.nRF Cloudとの連携によりFOTAやデバイス管理も容易で,開発者はアプリケーション開発に集中できる.さらにZephyrベースであれば他社MCUとの組み合わせも可能であり,柔軟なシステム設計を実現する点も強調された.
●次世代:nRF71シリーズ
2026年以降に登場予定のnRF71シリーズは,Wi-Fi 6/6EとBluetooth LE,IEEE 802.15.4を1チップに統合したSoCである.nRF54Lシリーズをベースに,より低消費電力なプロセスを採用し,Matter対応スマートホームやクラウド接続IoT,バッテリ駆動製品への適用を狙う.Wi-Fiとマルチプロトコル無線を単一SoCで実現することで,部品点数削減と消費電力低減の両立が期待される.

図3 nRF71シリーズの位置づけとロードマップ
















